君も僕もポーカーフェイス2 (言語と芸術のサロン)

アクセスカウンタ

zoom RSS 破裂の日

<<   作成日時 : 2010/11/04 18:38   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

その日はすぐにやって来た。
前回の記事を書いた翌日昼下がりの居間で、
左耳の、ちょうど眼鏡のつるのカーブが当たる部分、
つまり耳の上から後ろにかけて
膿でぱんぱんに膨らんでいた皮膚が破裂した。

破裂の反動で、
僕のかけていた眼鏡は吹っ飛び、
身体は右後方の床へ弾き飛ばされ、
その拍子に机にぶつかり、
机の上のミルクティーがカップからこぼれ、
プリンが小刻みに揺れた。

破れた皮膚の内側から、
膿はただれ落ちて、
床には黄色い海ができ、
家蜘蛛は急いで巣へと引き返し、
家ダニは何かを勘違いしてぴょんぴょん跳ねた。

破裂音を聞きつけて、隣室の主婦が玄関の戸を叩き、
膿と戯れる僕の有様を見て救急車を呼んでくれようとしたが断り、
膿の流出が落ち着いたころ、傷口をガーゼでふさいで、
前回、中国人の医者に出会った駅前の小さな耳鼻科に歩いて向かった。
この耳鼻科は、日替わりでいろんな先生が来る。
今回診てくれた医者は僕と同じ年くらいの若い男の先生。
この先生が優秀で、迅速で適切な処置をしてくれた。

聞くところでは1センチほど開いているらしい傷口に、
いろんな器具を差し込み、残った膿を吸い出したあと、
消毒をしてくれるのだが、痛みはほとんどなかった。
ただ、オカルト映画でしか聞いたことのない
内臓をいじくるぬちゃぬちゃした音が、耳元に響いて身震いした。
おそらく見た目にも結構グロテスクな有様になっていたのだろうが、
幸い見えないのでわからない。

この先生、前のようなジジイ連中とは違い、
普段は大病院で働く知識豊富で立派な先生なのだろう。
ただ小さな病院の設備が、それに追い付いていなかった。
なるほどそんなこともあるのかと勉強になったのだけれど、
「アンドケチンありますか?」などと医者が頼んだものが、
置いていないということが何度もあったのだ。
そういう意味でも本来は、
大病院の方が対応力があって安心なのだろう。
「じゃあ、ドレクサミンは?」「いや、ないですねえ」
僕の傷口をライトで明々と照らしたまま、
医者と看護婦のそんなやりとりが繰り返され、結局、
「だったら、イソジンでいいや」
と決着するというくだりがあった。
そんな日常的なもので本当に大丈夫なのか。
僕にはさっぱりわからない。

ともかく、耳の腫れは無事に治まり、
これから毎日消毒に通えばいいそうだ。
15年前の思春期の頃は、病院通いというものが、
それだけでイケてない恥ずべきもののように感じられ、
自分が情けない存在のように思えてならなかったものだが、
今はどことなく他人事のように楽しんでいられる。
大人になるのもいいもんだ。


■参考
北斗の拳 悲鳴断末魔リスト
http://www7.big.or.jp/~sosan/hokuto/danmatsu.html

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
破裂の日 君も僕もポーカーフェイス2 (言語と芸術のサロン)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる