君も僕もポーカーフェイス2 (言語と芸術のサロン)

アクセスカウンタ

zoom RSS 耳の穴

<<   作成日時 : 2010/11/03 23:21   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

もしもあなたが女性で、お見合い相手の条件に
「耳の付け根、こめかみの横あたりに穴が開いている男性」
を求めていたなら、
それほど遠くない未来にあなたと僕は出会い、
恋に落ちるのかもしれない。

「先天性耳瘻孔(せんてんせいじろうこう)」という
爪楊枝も刺さらないぐらいの小さなこの穴は、
100人に数人というそう低くない割合であるそうだが、
日常的に出会ったことがないので、
小さい頃に手術して取り除いている場合も多いのだろう。
放っておいても何ともない人もいるらしいが、
穴から雑菌が入って内部が化膿してしまうケースもあるため、
その傾向がある人は手術して取り除いた方が良いといわれている。
僕は両耳に残ったままなのだが、左耳の方が化膿しやすいらしく、
まさに今、左耳上部が膿で腫れあがってしまっている。
15年ぶりのことである。

(参考:先天性耳瘻孔について
http://www.kashiwamura-clinic.com/d-afistula.html
http://health.nifty.com/cs/catalog/idai_qa/catalog_5968_1.htm

化膿が進むとなにより嫌なのは、
穴からたまに膿が出てきてしまうことで、
これが銀杏の匂いに似て悪臭なのだ。
本人は幼少期から嗅いでいるからどこか愛着があるのだが、
他人に嗅がれたら嫌われるのではなかろうかと、
人と話しているとそればかりが気になって仕方ない。

15年前、高校生だった僕は、
左耳上部がぱんぱんに膨れ上がるまでその症状を誰にも話せず、
ただ黙って人を避ける数ヶ月間を過ごした。
風船のように皮膚が腫れあがり、怖くてたまらなくなった頃、
母親に打ち明け病院に駆けつけると、
待合室で順番を待っている間に、
皮膚が耐えきれず破裂してしまった。
気が動転していたためなのか、
不思議なもので痛みも何もなく、
ただ中から膿がしとどに溢れてこぼれ出し、
Tシャツは膿だらけ。
そのまま呆然としていたら、
慌てて医者がやってきて、応急処置。
診察室は即席の理髪店になり、
まず僕のロングヘアーをばっさり切り落としたあと、
左耳上部に空いた傷口を消毒してくれたのであった。
それから傷口が塞がるまでの一か月ほど、
毎日消毒に通い、塞がったら手術を勧められていたが、
手術にいい思い出がなかったので断った。

それから15年。
忘れていた悪夢が再び蘇り、
あの頃と同じように膨れ上がってしまっている。
二度ほど耳鼻科に行ったが、
どう考えても中国人であろう日本名の先生に、
「イタイダロケド、ダイジョーブダイジョーブ」と高笑いしながら、
無理やり押さえつけられ指で強引に患部を押しつけて膿を出すという、
ただ痛いだけの処置をされたり、
ジジイ先生に注射器を差し込まれては、膿が抜けず、
「抜けねーや。こりゃあ、しょうがねえわなあ。」
とまた軽く笑われたりと、乱雑な扱いをされたので嫌になった。
もう少し早い段階なら、処方された化膿止めを飲んでおけば、
なんとかなったのかもしれないが、
もうその段階は過ぎてしまったらしい。
それでも医者はなんとかしないとと
狭い穴から無理やり膿を出そうと頑張るらしいが、
もはやどんな処置を施されても痛いだけで成果がない。
そして、どうもこの症状はあまり深刻に受け取られないので、
痛い思いをし、鼻で笑われるだけ損である。

そんなわけで、僕は医者に行くのをやめ、
外出も避けて部屋の中で、
自然に破裂するのを今か今かと待ち続けている。
破裂して膿が出きったら消毒に通い、
今度こそ手術をしようと思いながら、
布団にはビニールを敷き詰め、
起きているときは、手術患者のような軽装で、
常に膿を受けるための受け皿を持ち歩き、
部屋をうろついている。

いつ来るともしれない世界の終末を
待ち続けているような感覚で、新鮮である。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
耳の穴 君も僕もポーカーフェイス2 (言語と芸術のサロン)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる